3−5.親亡き後の知的障害児

 子が未成年の間は、親権者として子に対するすべての代理権を持っているが、子が成人した後は、法的関係は全く別になります。未成年の時は子供がした契約を取り消したりできますが、成年になった後は、取消ができません。
 その趣旨は、障害者といっても、成人になったら、一人前の人間として扱い、社会の中でできるだけ普通に生きてもらいたいということです。ただし、一方で手続き・契約社会では、能力的に不公平になってしまいかねないので、保護するための手だてを考えなければならないので、「成年後見」が用意されているということです。あくまでも、社会からの「隔離」ではなく「保護」にあるのです。

(1)問題のない契約

 親が料金を支払い、そのサービスを子供が受けるという契約は、全く問題がありません(民法537条第三者のためにする契約)。
 たとえば、子供(成年でも)を職業訓練のため有料の施設に入れる場合、親が授業料を支払い契約し、訓練自体は子供が受けるという契約です。

(2)問題の起きるケース

 障害者に対して公的補助金が支払われるとき、子供が未成年の時は、親が親権によって代わりに受け取り、管理することが可能です。しかし、成人になったときは、親権はありませんから、受け取りは本人でなければならないのです(自治体によっては、親族の受け取りも認めているかもしれません)。まして、本人に支払われた公的補助金を、親だからといっても自由に使うことはできません。家庭内窃盗と同じになります。
 福祉サービスによっては、本人との契約しか認めていない場合もありますが、この場合も、親といえども断られることもあります。しかし、「第三者のためにする契約」という考えが抜けている場合もありますので、親が費用を負担するという前提で、今一度確認してください。

(3)解決方法

 そこで、障害者の子供に変わって、法的に正式に補助金を受け取り、その子のために利用できる方法として、「成年後見制度」があります。

3−5−1.具体的利用方法

具体的利用方法は、実際にはそれぞれのケースで、異なります。以下は一つのパターンとして考えてください。そこで、共通的な考えは

  • 複数後見とする。(親、若い人間、法人)
  • 本人と第3者は早期から、関係構築を図る
  • 親を後見人から外しても、無関係になるわけではない
  • 後見人の一人は職業後見人(親族以外)
  • 親自身も任意後見契約しておく
  • 親は、遺言書を書いておく(自分の財産の扱い)
  • 任意後見契約は移行型(子供と関係構築のため)

 

 

(1)子供に意思能力がある場合

 意思能力とは、ある動機に従って自分の意思を持ち、それを表示できる能力で、6から7歳程度の知能が必要と言われている。

a. 任意後見制度を本人との間に契約する

 契約で「親代わりになってくれるよ」ということがわかって、「それでいいね」という数回の質問に、毎回同意すれば、意思能力があると見て良いと思います。(実際には公証人の判断になります)

 子が成年の場合は本人と任意後見受認者との間で契約しますが、子が未成年の場合、親の同意の下で契約を結ぶことができます。

(2)障害がきつく、意思能力が無い場合

a.親権者として任意後見契約をする。

 民法824条を根拠に、子が未成年の内に任意後見契約を結んでおく方法です。任意後見契約は、子を保護するための契約ですが、経費を支払うことも含むでしょうから、824条の但書きに抵触する可能性もありますので、問題が全くないとも言い切れません。

b.法定後見の申請をする。

 申請は親など親族は可能ですが、後見人として親が指定されるとは限りません。家庭裁判所はいろいろ事情を検討して決めることになります。第三者後見になった場合は、残念ながら、障害のある子供との関係は、事前に構築できるという状況にはならないでしょう。

 ただ、財産管理は後見人で、世話を親又は親族・施設の方などが行うという形態は可能ですし、一つの解決策でしょう。

 どちらにしても、子が成年にすでに達しており、意思能力が無い場合はこの方法しかないでしょう。

3−5−2.その他

 「親無き後」とは、親が死亡した場合だけでなく、痴呆や、病気・入院、子供の体力に比べて親の体力が弱くなってきた場合のことも考えなければなりません。

 また、子の障害についても、知的障害、精神障害、身体障害で異なりますし、ダウン症か発達遅滞かによっても、対応が異なります。

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問い合わせフォーム

障害を持つ子供の親が集まって、互助会のような法人を作り、法人として、その親の死後も世話をするという方策があります。是非とも、設立・運営などに参加させて頂ければと思います。このような目的で、中間法人NPO法人を立ち上げる場合、特別料金にてご支援させて頂きます。

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